HOME > 疾患グループ > 下部消化管外科 > 大腸癌 > 慈恵医大外科での治療と成績

大腸癌

大腸癌とは 慈恵医大外科での治療と成績

慈恵医大外科の大腸癌治療《治療法の選択肢》

治療法の選択肢はさまざまです。以下にその詳細を記します。

1. 手術療法

そこにある病巣を除去できる考えうる限り確実な方法。しかし、手術に伴う合併症の発生率のリスクを負わなくてはならない。遠隔転移のない場合は第1選択となることが多い。

2. 化学療法

いわゆる抗がん剤治療。抗がん剤は以前とは違いかなり効果が期待できるようになってきました。しかし、まだ抗がん剤だけで癌が完全に消滅できるほどまでには至っていません(そういうこともあると思いますが率はかなり低いと思われます)。また、患者様個々で効果が違い、効果が期待できるかどうか判定が難しいです。抗がん剤の副作用も考慮しなくてはなりませんが手術よりはリスクは低いと思われます。遠隔転移のある場合は第1選択となることが多いです。

3. 放射線療法

直腸癌や直腸癌の局所再発(骨盤内)、骨転移に対する疼痛除去などに適しています。結腸癌では適応はありません。手術と同じく局所に対する治療法です。手術や化学療法のようなリスクはありませんが、放射線性腸炎、放射線性膀胱炎、骨髄障害などの発生リスクがあります。

4. 免疫療法

上記3つのような確立された治療法ではありません。いろいろな方法がありますが、当院では樹上細胞と腫瘍細胞を融合させた細胞による治療を臨床研究として行っております。

5. 遺伝子治療

おなじく確立された治療法ではありません。実験段階です。

6. 蓮見ワクチン、丸山ワクチン

蓮見ワクチン、丸山ワクチンも免疫治療のひとつです。また、健康食品のプロポリス、アガリクスなどは効果不明です。ただこれらの方法に対して効果がないと断言するのは言い過ぎです。データの公表や精密な検討がされていないためにわれわれにも本当のところはわからないのです。中には効果の出ている患者さんが少ないながらもいるのでしょうから“わからない”というのがわれわれとして正しい回答です。しかし、これらが上記3つを上回るとは思えません。ただ、上記の治療にこれらを同時に施行する場合、現行の治療にマイナスにならなければ問題ないと考えています。他にもいろいろありますが、いわゆる確立された治療法としては上記の1、2、3になります。

7. “治療をしない”という選択

最後に選択肢として“治療をしない”という選択があることを覚えておいてください。病気があるからといって治療しなければならないという規則はないのです。上記治療法は患者様ご本人が治療を理解し、ご希望されて始めて成立するものなのです。だからこそ、ご本人がすべてを理解して上で“治療しない”を選択された場合は、それが一番正しい治療法なのです。

↑

治療成績

当院における治療成績(いわゆる5年生存率)は1997年の一部と1998、1999年度の結腸直腸癌では、stage I:95.8%、stage II:83.1%、stage IIIa:89.7%、stage IIIb:61.7%でした(カプランマイヤー法で計算,stage IからII...と進行度は上がる)。

病期分類

病期(stage)分類は次に示す各項目毎に該当する進行程度を求め、そのうち最も高いものをもって癌のstageとする。

表6a.臨床的病期(clinical stage)

項目 壁深達度 リンパ節転移 腹膜転移 肝転移 腹腔外遠隔
他臓器転移
stage
0 M N(ー) P0 H0 M(ー)
1 SM, MP N(ー) P0 H0 M(ー)
2 SS, SE, A1, A2 N(ー) P0 H0 M(ー)
3 a Si, Ai N1(+) P0 H0 M(ー)
b 壁深達度に
関係なく 
N2(+)
N3(+)
P0 H0 M(ー)
4 壁深達度に
関係なく 
N4(+) P1以上 H1以上 M(+)

表6b.組織学的病期(histological stage)

項目 壁深達度 リンパ節転移 腹膜転移 肝転移 腹腔外遠隔
他臓器転移
stage
0 m n(ー) P0 H0 M(ー)
1 sm, mp n(ー) P0 H0 M(ー)
2 ss, se, a1, a2 n(ー) P0 H0 M(ー)
3 a si, ai n1(+) P0 H0 M(ー)
b 壁深達度に
関係なく 
n2(+)
n3(+)
P0 H0 M(ー)
4 壁深達度に
関係なく 
n4(+) P1以上 H1以上 M(+)
注1:組織学的病期におけるP,H,Mは臨床的所見を用いるが、組織(細胞)診が陽性の場合にはこれを優先する。
注2:早期癌とは壁深達度がm,smの癌とし、リンパ節転移の有無を問わない。

在院死亡率

年度 結腸 直腸 合計 在院死亡数 在院死亡率
2000 116 92 208 1 0.5%
2001 107 65 172 0 0.0%
2002 106 65 171 3 1.8%
2003 94 50 144 2 1.4%
2004 109 49 158 1 0.63%
2005 61 54 115 4 3.48%
2006 82 52 134 2 1.49%
total 675 427 1102 13 1.18%

■ 5年生存率(%)(Kaplan-Mayer法)

5年生存率(Kaplan-Mayer法)

■ 悪性初回手術症例数の推移

症例数推移

↑

入院期間

入院は通常は手術の2日前(日曜が入る場合は3日前)で、特に問題がなければ術後7から10日で退院です。したがって入院期間は10〜14日ですが、もちろん個人差がありますし、患者様の基礎疾患(心臓病、腎臓病、高血圧、糖尿病など治療中の病気)の有無や合併症の発生などで変わってきます。当院の2003年後期では結腸癌で術後入院日数は平均13日でしたが、これは患者さんやご家族の希望で週末をご希望される方が多いので少し長くなっているためです。退院可能な日付で計算すると結腸癌では術後平均10日で退院されています。

↑

クリニカルパスの実例

実際に患者さんにお渡ししているクリニカルパス用語説明の実例として、結腸切除の入院診療計画表をこちらからご覧戴けます。

結腸切除の入院計画表
*別ウィンドウに開きます。
*印刷物から起こした物ですので、実際のものと様式は異なります。

↑Page top