HOME > 疾患グループ > 肝胆膵外科 > 脾臓の病気 > 脾臓摘出手術について、成績

脾臓の病気

脾臓の病気とは 慈恵医大外科での治療と成績

脾臓摘出術

前述のように、脾臓の摘出が必要な患者さんに行います。一般的には上腹部の真ん中を縦に切開するか、左の肋弓下を横に切開する方法で大きく開腹して摘出しますが、当科では1993年から腹腔鏡下脾臓摘出術を導入しています。

腹腔鏡下脾臓摘出術

■ 当科における腹腔鏡下脾臓摘出術(1993〜2008年)
腹腔鏡下脾臓摘出術(合計) 82 人
 特発性血小板減少性紫斑病 42 人
 遺伝性球状赤血球症 26 人
 脾腫瘍 10 人
 その他 4 人

お腹に小さな穴を開け、そこから細いカメラを挿入して脾臓を映し出します。さらに3箇所、別の穴を開け、様々な器具を挿入して脾臓を摘出します。通常の開腹手術と比較して患者さんへの侵襲(負担)が少なく、身体に優しい手術と言えます。慈恵医大では1993年から2008年までにすでに82例の腹腔鏡下脾臓摘出術を施行しおります。この数は国内でも有数です。患者さんの内訳は表の通りです。手術時間は一般的な開腹術の場合に比べてやや長い傾向がありますが、少ない出血量と短い術後在院日数(約1週間)は、腹腔鏡下手術のメリットの現れでしょう。何より、傷の小ささが患者さんに好評で、通常は翌日から歩行や食事が可能です。

慈恵医大では2003年から、さらに進んだ腹腔鏡下脾臓摘出術を開発しました。これは血管の処理を従来の金属製クリップやステイプラーといった、いわば体内に異物を残す方法に頼らずに、リガシュアーと呼ばれる特殊な先端機器を用いることによって行う手術です。これによって大抵の血管を異物を残すことなく閉鎖・切離することができるようになりました。その他にもいくつかの工夫を加えて術式を標準化することによって開腹手術へ変更する症例が激減し、手術時間や出血量がさらに短縮するなど、安全性が格段に向上しました。なお本術式は日本内視鏡外科学会症で高い評価を受け、2004年に当科の三澤健之医師が同学会賞(カールストルツ賞)を受賞しております。

さらに、最近では肝硬変などによる門脈圧亢進症の患者さんに対し、脾臓を摘出することによって門脈圧を低下させ、肝機能や食道・胃静脈瘤を改善させる試みが行われております。白血球や血小板減少といった血液異常の改善も期待されるため、インターフェロンによる肝炎ウィルス治療が行いやすくなるといったメリットもあります。

カールストルツ賞

日本内視鏡外科学会総会は年1回開催されているが、その第12回総会(1999年)からカールストルツ社(本社ドイツ)の協賛を得て始まった。内視鏡外科手術の発展のために優れた研究成果を発表した若い医師を顕彰するためのもので、毎年、総会時に会長より授与される。副賞として、海外の内視鏡外科手術のトレーニングコースへの参加、または国際学会への参加などが希望によって選択される。

■ 新しい腹腔鏡下脾臓摘出術の成績(2003年〜)
新たな術式(2003〜) 以前の術式
患者数 27 人 55 人
開腹手術への変更率 0% 9%
手術時間の平均 142±26分 188±60分
術中出血量の平均 58±198g 129±262g