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乳癌

乳癌とは 慈恵医大外科での治療と成績 乳癌のQ&A

Q1 乳腺部分切除が勧められない場合はあるのですか?

A1 たとえば、以下の場合があげられます。

  • しこりが大きな場合:
    しこりの大きさが何センチだと温存できるという基準があるわけではなく、しこりの大きさと乳房の大きさとの比率が問題となります。すなわち、しこりが大きくても乳房が大きな場合は温存できることもあるし、反対のこともあるわけです。
  • マンモグラフィーで石灰化が広範囲に拡がっている場合や、乳房内に病変が多発している場合。
  • 膠原病をもつ患者さんなど、術後放射線療法ができない場合。

Q2 乳腺部分切除を行ったあと、再切除することもあるのですか?

A2 しこりを含めて乳腺の一部を切除した場合、肉眼では大丈夫と思っても、顕微鏡で調べてみるとおもいがけず癌細胞が拡がっている場合があり得ます。このため、通常の手術では、切除した標本の端(断端)を調べることにより癌の遺残の有無を判定しています。ただし、断端の正確な評価は困難であり、施設によっても判定基準が異なるという問題があります。手術中に迅速診断で判定することも、ある程度参考になりますが、最終的な判断は永久標本といって組織を固定・包埋したのち組織標本を作製し、診断します。当院では7日程度かかります。

断端にまで癌がみられる場合(断端陽性)には、再切除が必要とされています。断端まで癌があっても、ほんの少ししかない場合には、放射線照射でもいいのではないかという意見がありますが結論はでていません。癌が乳管内を広範にひろがって断端にまである場合には再切除が望ましいとする意見が多数派です。遺残した癌が原因で乳房内再発を起こした場合、それがもとで命取りになるかどうかということについては、専門家でも議論のあるところです。現在、臨床試験が行われていますが、まだ結論はでていません。非浸潤性乳癌の再発の半数が浸潤性乳癌であるというのも事実で、いまのところは安全な方法、つまり、極力乳房内再発を避ける方法をとることが賢明だと思われます。

Q1 私の乳癌は今後再発しますか?

A1 もちろん現時点ではわかりません。再発の可能性(リスク)をある程度予測できるだけです。乳癌の発育速度は他の癌に比べ遅いので、手術何年経っても再発がみられることがあります。しかし一方で再発の約半分は3年以内におこりますから、3年たてば危険は半分なくなったと考えることができます。

Q2 再発を予防することはできますか?

A2 手術前後に行われる抗癌剤、放射線治療、ホルモン療法により、再発率が低下することが知られています。しかしこの3つ以外に効果が確認された方法は現在ありません。免疫療法、遺伝子治療、代替療法のいずれにしても、ある程度の理論的裏付け、実験室レベルでのデータはあっても、はっきりとした臨床データ(患者さんでのデータ)はありません。

Q3 再発の早期発見のために何をすべきですか?

A3 乳房(残存乳腺と反対側乳腺・皮膚)・リンパ節(腋窩・鎖骨の上方・下方・首)・骨・肺・肝臓・脳が乳癌の再発部位としてよく見られる箇所です。なんからの症状がでた場合、例えば、乳房・皮膚のしこり、腰痛や骨の痛み、息切れや咳、頭痛や神経症状などがでた場合には、検査が必要となります。

Q4 代替療法(民間療法)は勧められますか?

A4 基本的にはお勧めできません。癌と診断された場合、自分でこうした治療法の情報を探す方もいますが、むしろ少数で、多くの場合話を聞きつけた友人や、親戚に勧められるようです。代替療法は必ずしも安全といえないため、治療の概要だけでは主治医に伝えておいた方が無難でと思います(特に病院で現在治療中の方は相互作用の問題があるため報告しておいた方が望ましいと思います)。臨床医学は科学のなかでも未熟な領域のため、代替療法と通常の医療との垣根が明瞭ではありません。このため断定的に代替療法を否定できないかわりに、証拠(Evidence)に基いた方法ではないことを理解しておいて下さい。

Q5 私の乳癌は遺伝しますか?

A5 遺伝性乳癌(家族性乳癌)で現在わかっているのは BRCA1 と BRCA2 という遺伝子の変異による乳癌の発生です。欧米ではこれらの遺伝子変異の見られる頻度は5〜10%といわれていますが、人種差が非常に関係し、日本人の間でははっきりとした頻度はわかっていません。それ以外の家族性乳癌家系もあるといわれていますが、これもまたはっきりとした原因はわかっていません。遺伝性乳癌の特徴として、家系に何人も乳癌が発生している、特に発生年齢が若い人が家系内で多くみられる、両側性乳癌・男性乳癌がみられる、などが挙げられます。

Q6 今、苦しんでいる手術の後遺症の腕のむくみは軽減される見込はありますか?

A6 手術直後から数ヵ月間が後遺症のピークで、その後2年程度までは症状の改善が期待されます。しかし、その後はあまり大きな改善は期待できず、症状は固定します。したがって、手術後に、リンパ浮腫を予防すること(軽いマッサージや弾性ストッキングなどによる軽い圧迫など)が大切で、むくみが見られた場合早期にリンパ浮腫の改善と再発予防に心がけることが大切です。

Q7. 将来の妊娠についての不安は?

A7. 妊娠をすることで乳癌の再発が特に増えることはほとんどないと現在では考えられています.抗癌剤治療により、卵巣機能が低下し、閉経に至ることがあります。特に40歳代ではその頻度は上昇します。